博士の介護

やりっぱなしを解決する方法:立ち止まる勇気(忙しい人向け)

やりっぱなしで疲弊した女性が、自然の中で静かに休息している様子
doctoryoume23

やりっぱなしの解決策は、新しい行動ではなく 「立ち止まる勇気」から始まります。

1. 「やりっぱなし」に潰される日々

やっても、やっても、片付かない。

SNSの返信は溜まる一方。先生からのメールも放置。英語の参考書だけが山積み。

「時間が足りない」

多くの人がそう結論づけます。

でも本当にそうでしょうか?

真面目な人ほど、頑張ろうとして「やりっぱなし」を山積みにしています。そして、それが重荷になって、さらに動けなくなる。そんな悪循環に陥っていませんか?

大前提として、ほぼ全てのことは「やりっぱなし」になります。

これは正常なことです。

問題は、その現実を受け入れられずに苦しんでしまうこと。学校教育では「最後までやり抜く」ことを教わりましたが、現実の大人の生活では「優先順位をつけて選択する」スキルの方が重要なのです。

特に介護・育児・仕事を抱える真面目な人ほど、完璧を目指してやりっぱなしを山積みにしがちです。そんな状況でお悩みの方は「真面目な人のための介護・育児・仕事の両立ガイド」も参考にしてください。

2. 私の失敗談:実験地獄にハマった研究者

私は大学の研究者です。

毎日実験をしています。でも、ある時期、実験の罠にハマったのです。

例えば、実験として:

  • ・ 準備(2時間)
  • ・ 実験(4時間)
  • ・ 後始末(1時間)

があったとします。例えば10時から始めたとしても、終わるのは17時です。そして、実験が終わると、大きな達成感があります。7時間もかかっていますから。そして、「今日も頑張った!」と満足してしまう。

ですが、ここで大きな落とし穴があります。

最も重要な「データ解析」と「結果考察」の時間が無いのです。

気がつくと、未解析データの山が積み上がっていました。

不安になって、さらに実験を重ねる。でも結果を確認しないから、同じミスを繰り返したり、不必要な実験を行なっていました。

まるで暗闇の中を目と耳を閉じて全力疾走している状態でした。

そんなある日、疲れ果てて喫茶店でコーヒーを飲みました。

ボーッと窓の外を眺めていた時、ふと気づいたんです。

「あ、全部やりっぱなしにしてる」

3. なぜ「やりっぱなし」は呪いになるのか

やりっぱなしには大きな可能性が詰まっています。

既に行動は完了している。あとは振り返るだけで学びが得られるはず。

でも現実は違います。

時間が経つと:

  • ・ ノートは部屋の奥に埋もれる
  • ・ 詳細を忘れてしまう
  • ・ 「もう手遅れ」という気持ちになる

そして心理的な重荷だけが残る。

やりっぱなしは「未完了感」となって、常に心と頭を圧迫し続けます。

さらに厄介なのは、やりっぱなしは意識しないとどんどん蓄積することです。現代人は抱えすぎているんです。やりたいことが多すぎる。

だからこそ、意識的に対処する必要があります。

4. まずは止まることから始めよう

やりっぱなしに悩んでいて、週に1回、15分だけ「何もしない時間」を取れないのは、動きすぎの可能性が高いです。

強迫観念から、毎日実験を必死にやっていた私と似たような状態です。

身体的にも精神的にも疲弊しているはず。

ここで新しい行動を始めても、それもまた「やりっぱなし」になる可能性が高いです。

PDCAサイクルの本や時短家電の導入では、根本的な解決にならないのです。

だから提案したいのは「止まること」。

「何もしない」という行動です。

矛盾しているようですが、これは大きな決断です。なぜなら:

  • ・ 動いている方が気が楽
  • ・ 止まって考えるのは辛い
  • ・ でも現状を変えるには、いつもと違うことが必要

週に1回、15分だけ「何もしない時間」を作ってみてください。

もちろん、理想は2時間とかです。まとまった時間でしっかりと止まると、心も頭も落ち着きます。しかし、忙しすぎる現代人に2時間のまとまった時間はツチノコ並に希少です。

最初は焦ります。「意味ないんじゃないか」と思うかもしれません。

でも続けていると、不思議と心と身体が落ち着いてきます。

「あれ、なんであんなに焦っていたんだろう?」

そんな瞬間が訪れます。

5. 「立ち止まる」の具体的な方法

目的は2つ:

  1. 1. 心と頭を整理する
  2. 2. これ以上やりっぱなしを増やさない

お勧めの方法:

週1回、お気に入りの喫茶店に行く。窓際の席がおすすめです。外の景色があることで、自然とぼんやりできるからです。

自販機でコーヒーを1本買って、好きな海辺、河川敷、公園などでも良いです。

スマホ、パソコン、本は持参しない。

ただボーッと外を眺める。

それだけです。

時短家電や自己啓発本を試す前に、まずこれをやってみてください。焦っている状態では、どんな良いツールも効果を発揮しません。

準備運動なしに激しい運動をすると怪我をするように、心の準備も必要なんです。

何度か繰り返すと、肩の力が抜けていくのを感じるはずです。

全てはそれから始まります。

6. 立ち止まる勇気が人生を変える

「やりっぱなし」で悩んでいる時、私たちは「もっと効率的に」「もっと早く」と考えがちです。

でも本当に必要なのは、立ち止まる勇気かもしれません。

止まることで見えてくるもの:

  • 本当に大切なこと
  • 手放していいこと
  • 自分が焦っていた理由

週に1度、たった15分。

何もしない時間を作ってみてください。

その小さな勇気が、やりっぱなしの山を片付ける第一歩になります。

そして次回は、実際にやりっぱなしを整理し、改善していく具体的な方法をお伝えします。


まずは止まる。全てはそこから始まります。

ABOUT ME
Doctor YouMe
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京都大学 理系博士  某 旧帝国大学 教官
Doctor YouMe。 京都大学 理系博士。  某 旧帝国大学 教官。 ウイルス研究で博士号を京都大学で取得。 現在は日本国内の某 旧帝国大学で教官をしています。 普段は学生の教育と研究室運営、研究を介護、育児、家事の傍ら行なっています。
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