理系博士号

ホワイト研究室の特徴と見分け方、選び方

優秀な卒業生たち
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ホワイト研究室とは、「学生が成長する研究室」
 前回、ホワイト研究室について簡単に考えてみました。今回はホワイト研究室を卒業した学生の特徴を考えてみようと思います。なぜ、卒業した学生を見るのかと言うと、学生が大きく成長している場所がホワイト研究室なのです。お金が潤沢にあって、スタッフがいて、教育機会を豊富に提供していても、学生が学べなければ結果的にはそれはホワイト研究室ではありません。なので、ホワイト研究室を見分けたい時は、卒業生を見れば良いのです。ここで注意してもらいたいのは、卒業した学生が良くても、今の研究室の状態がホワイトであるかは分かりません。それは後で説明します。

ホワイト研究室卒業生が持つ4つの特徴
 ホワイト研究室の卒業生の特徴を簡単に列挙します。最初は「時間をしっかりと守る」です。二つ目は「礼儀がしっかりしている」です。三つ目は「学ぶ方法を知っている」。最後の四つ目は「伝える方法を知っている」ということです。この四つについてを今回は簡単に説明したいと思います。もちろん、ホワイト研究室を卒業した学生の特徴は他にも沢山あります。ですが、この四つが外から確認することができるスキルだからです。ここでは挙げていませんが「感情を制御できる」は最も大事なスキルですが、今回は除外します。

1つ目の特徴「時間をしっかりと守る」
 「時間をしっかりと守る」についてですが、ホワイト研究室の学生は時間の重要性をしっかりと認識しています。ここでの「時間」とは、待ち合わせの時間を守るとかだけでの話ではありません。人が持っている最高の価値である「時間」を浪費しないとうことです。ホワイト研究室では、時間が重要視されています。締切りは不動であり、動かざるものです。それを守るために徹夜をすることもあります。大事なことは徹夜をしたり、計画的にやったりして時間のやり繰りを学ぶことです。年柄年中徹夜をするのは好ましくありません。そして、これは四つ目にも関係するのですが、100%の物を追い求めなくなります。これは、100%の物を1つやるよりかは、60%を10個やる方が良いからです。私のような凝り性にありがちなのですが、100%の物を目指して、時間配分を間違えることです。研究の世界で100%を目指したら、とんでもない時間がかなります。専門家として100%を目指すのは良いと思いますが、トレーニング中の学生は教育を受けるのが最優先です。なぜなら、教育とは「自分自身のやりたいこと」ではなく、「可能性を広げるもの」だからです。

2つ目の特徴「礼儀がしっかりしている」
 二つ目の「礼儀がしっかりしている」ということについてです。礼儀とは人間社会における最低限のルールです。挨拶をしたり、きちんとした口調で話したり、自分自身の感情を適度にコントロールすることは大事なことです。大事なことは完璧に行なう必要はなく、礼儀を守ろうと努力することです。努力した結果、不完全であるのはしょうがないことです。場所によっては「礼儀を守る姿勢を出せないのは知性が欠如している表れ」と判断されます。それを理解しているからホワイト研究室では礼儀を叩き込むのです。

3つ目の特徴「学ぶ方法を知っている」
 三つ目の「学ぶ方法を知っている」ということに関してです。研究活動とは、誰も知らない領域へ足を踏み入れることです。ですが、未知の領域の周りには既知の領域が必ずあります。そうでなかったら「未知である」ということすら気付けません。そして、情報はネットの世界でも現実世界でも均一に分布しているわけではありません。なので、Google先生に聞くだけでなく、図書館に行く、知ってそうな友人、先輩、先生に聞く。学会のシンポジウムで議題として提示するなど様々なアプローチがあります。そのやり方、情報が溜まっている場所を知っていることはとても強いです。

4つ目の特徴「伝える方法を知っている」
 四つ目は「伝える方法を知っている」です。私もよく陥るのですが、「良い物を作ったら、必然的に皆付いてきてくれる」という神話があります。ですが実際は、プレゼンなどでの伝え方、アピールの仕方はとても大事です。国際学会で日本人の素晴らしい研究が、プレゼン資料と英語での発表方法、質疑応答で価値の半分も伝えられていない場面を何度も目にしています。ホワイト研究室では、それを徹底的にトレーニングさせられます。これは飲み会の「一発芸」とかでもあります。飲み会での一発芸なんて「パワハラ?!」と思うかもしれませんが、冷静に教育方針を練っているホワイト研究室では飲み会さえも教育の場所として利用します。一発芸で「滑る、恥ずかしい経験をする」というのがとても大事だからです。学会で必ず発表、質問させることをルールにしたりもします。アルコールハラスメントやパワハラ、アカハラなんて低レベルな話ではありません。学べる、挑戦できる機会があったら徹底的に利用する。ホワイト研究室ではそんな貪欲さが身につきます。

まとめ
 今回はホワイト研究室を卒業した学生の四つの例を具体的に見ていきました。ね? 見れば見るほど、ホワイト研究室に行くことにワクワクしませんか? 今回の主題はホワイト研究室の特徴と見分け方でした。今回は4つの特徴を挙げましたが、これらの特徴が全てではありません。また、あなた自身が欲しいと思う特徴、スキルが得られる研究室があなたにとってのホワイト研究室なのです。なので、研究室選びをするときは、卒業生を調べるのが有効な手段の1つです。そして、人員の募集(就職活動をされる側、企業の人事担当とか)をする時は、どこの研究室を卒業したかを見るのが1つの指標になるかと。
ですが、ホワイト研究室が成り立つに、は教官だけでなく、学生の意欲も大事なことです。馬を水辺に~、ということわざもありますよね?(学生が馬だとかいう話ではない)なので、ホワイト研究室とは教官と学生によって作り上げられる、研究室に一時現われる桃源郷なのかもしれませんね。

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Doctor YouMe
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京都大学 理系博士/基礎ウイルス研究者
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