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RSウイルスの症状、薬、ワクチンは?

RSウイルス感染予防のためにマスクを着ける子供たち
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インフルとコロナに隠れるRSウイルス
アメリカでの呼吸器系の疾患の流行が報告されています。特に、インフルエンザ、コロナ、RSウイルスが問題であると報告されています。日本ではインフルエンザ、コロナは有名でほとんどの方が知ってると思います。しかし、RSウイルスは認知度が低いです。今回はそのRSウイルスについて簡単に説明したいと思います。

RSウイルスに注意すべき人は?
RSウイルスは「アール エス ういるす」と呼びます。このウイルスは冬に流行する傾向があるウイルスです。全世代に感染しますが、特に乳児、幼児に対しては肺炎などへ重症化する可能性があります。なので、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では特に注意が必要になるウイルスになります。低出生体重児、心肺系に基礎疾患があったり、免疫不全がある場合には重症化のリスクが高まります。ワクチンはありますが、有効な抗ウイルス薬はありませんので、対処療法が基本となります。ですが、不安に思わないでください。
 
RSウイルスを防ぐには?
RSウイルスの主な感染経路は「大きな呼吸器飛沫と、呼吸器からの分泌物に汚染された 手指や物品を介した接触が主」つまり、セキやクシャミによって広がります。よって、私たちがコロナの時に嫌になるほどやった適切な「手洗い」「マスク」「3密回避」で十分に防ぐことができます。どのウイルスでも同じですが、感染しないことが最も大事なことです。RSウイルスそれ自体はそれほど強いウイルスではありませんので、コロナと同じく、エタノールや界面活性剤を適切に使うことでウイルスを破壊することができます。
 
RSウイルスの基本的な症状は?
ここまで読んで感じられたと思いますが、対処の仕方がしっかりと分かっているウイルスなので、もちろん油断大敵ですが、もの凄く不安に思われる必要はありません。RSウイルスの潜伏期間は4~6日とされています。主な症状は発熱、鼻水、セキ、クシャミ、食欲低下、喘鳴(ぜいぜい、ひゅーひゅー)があります。小さなお子さんがおられて、特に受診を迷った場合や夜間・休日の場合は、「こどもの救急(http://kodomo-qq.jp/)」などの関係Webサイトを参照したり、#8000(こども医療相談)にご相談ください。
 
2023年の年末、2024年の年始に報告されているRSウイルスとは?
インフルエンザやアデノウイルス、コロナ、マイコプラズマ、RSウイルスが世界各地で流行している情報があります。しかし、そもそも冬は呼吸器系の感染が拡大しやすい時期ですし、免疫が薄れていて感染が拡大する可能性はあります。ですが、新型コロナと違うのは今、感染が大きく報道されているのは「新型」ではありません。つまり、インフルエンザにしても、アデノウイルスにしても、マイコプラズマにしても、RSウイルスにしても今まで流行していたのと大きな違いはないので、もちろん、楽観視はよくありませんが、めっちゃ不安にならなくて大丈夫です。感染症に限らずですが、落ち着いた行動が最も大事です。

2023年から2024年にかけてのアメリカでのRSウイルスの流行状況に関して
 アメリカCDCの報告によると、2024年1月下旬ではRSウイルスの感染者数も陽性率も高いのが現状です。2023年12月と比較すると減少しているようにも見えますが、依然として高いのが実情です。しかし、2023年の10月からの急激な増加ではないと思われます。

RSウイルスの主要なウイルスタンパク質(RdRp)


RSウイルスのウイルス学的概略
少し専門的な話になりますが、RSウイルス(Respiratory Syncytial virus)はエンベロープを持つRNAウイルスです。ゲノムはマイナス一本鎖RNA、15000塩基で11個のタンパク質をコードしています。ウイルスのサイズは150 nm付近で、球形です。粒子内にRdRp(RNA依存性RNAポリメラーゼ)を含んでいると考えられています。ウイルスのRdRpを持っているなら、その阻害薬を開発すれば毒性が少なく効率的にウイルスを阻害できるのでは? と思われるかもしれません。ですが、そう簡単にはいかないんです。その理由はまた違う機会にお話できたらと思います。

参考文献、サイト

「 RSウイルス感染症とは 」(IDWR 2004年第22号掲載)
国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html

「 RSウイルス感染症Q&A 」(令和5年9月28日改訂)
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html

「 Respiratory Syncytial Virus Infection (RSV) 」
Centers for Disease Control and Prevention, Atlanta, Georgia, United States of America.
https://www.cdc.gov/rsv/index.html

https://www.rcsb.org/3d-view/6UEN

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Doctor YouMe
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京都大学 理系博士/基礎ウイルス研究者
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