理系博士号

ブラック研究室の特徴

研究者は実験で疲れ切っている。
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ブラック研究室は研究の癌であり、悪そのもの
 ブラック研究室は行方不明者、自殺者が出ます。こう言うと「そんな馬鹿なことが?!」と思うかもしれませんが、その発想自体が間違っています。ある程度の人間が集まってできた組織では、必然的に歪みが生じます。閉じられた世界で、外部から隔離されているから「他とは違う」と錯覚してしまうだけで、基本的に研究室という組織は学校、会社といった組織と同じです。私はブラック研究室を断じて肯定できません。ブラック研究室は研究の癌であり、悪そのものだからです。これに対しては全ての研究者が同意すると私は信じています。今回はその実態を簡単に見ていきたいと思います。ブラック研究室を避けるためには、ブラック研究室について知ることが大事です。

そもそも研究室とは?
 研究室とは、大学にある1つの集団のことです。講座、分野、○○研(○○は教授や准教授の名前)、とかでも呼ばれます。規模は1~60人ぐらいです。大体、15人前後がある程度の大きさの研究室です。大学の研究室の目的は研究と教育です。ここで注意してほしいのは、国の省庁の研究所の研究室は研究がメインで、教育ではありません。大学にある研究室だから、研究と教育が目的なのです。普通の研究室では実験や調査活動などの方法を学び、学会参加や論文発表を通して研究と教育を行います。つまり、大学における研究室とは、理想的には学生と教員が共に学び、研究を行う場所なのです。では、次の項目から、ブラック研究室と呼ばれる場所を見ていきましょう。

学生を性的対象としかみていない研究室
 学生を性的対象としかみていない研究室があります。「そんな研究室なんてあるわけ…」と思ったあなたは考えが甘すぎます。研究室は基本的に研究室の主催者(通常は教授、准教授)が絶対的な力を持ちます。確かに、学問としては平等かもしれません。しかし、学位を出すかどうか、実験、調査活動、書籍のために予算を出すかどうか、研究スペースや学会参加の有無などは主催者が決定します。なので、それらを餌にして、間接的にセクハラする教官はいると思われます。年齢が大きく離れていて精神的、資金的な力の差も関係しています。

学生を労働力としか見ていない研究室
 次は学生を労働力としか見ていない研究室です。これは先ほどよりも理解しやすいが、何のことか分かりにくいと思います。基本的に学生は研究活動を通じて、自分自身の学力を向上させ、その証として学位を取ることを目的としています。なので学生の本分は勉学による自分自身の学力の向上です。ですが、無料で命令を聞く奴隷として、自分自身の研究業績を発展させることを第一に置く教官がいます。そういった教官は学生に実験ではなく、実験動物の餌替え、整理清掃などをひたすらやらせて、実験をさせない教官がいます。

ブラック研究室は絶滅してる?
 ここまで見て、性的対象としか見ない、奴隷としか見ない研究室が沢山あるのか?! と不安に思われたかもしれませんが、そんなブラック研究室はほとんど絶滅しています。なので、安心していただいて大丈夫だと思います。ですが、錯覚しないでほしいのは、ほとんどの大学教官は教育者として中学、高校の教員のように体系だった専門的なトレーニングを受けているわけではありません。それは大学教官というのが、分野や時代によって性質が全く違うからで、汎用的な専門トレーニングが難しいのだと思います。

大学教官は変(普通ではない)
 そして、当たり前と思うかもしれませんが、大学教官も人間です。そして、ある分野には詳しいかもしれませんが、全ての分野に詳しいわけでも、人間的に成熟しているわけでもありません。そして、研究とは前人未踏の分野を開拓したり、不可能と考えられたことを可能に転換させることです。なので、研究力とは突破力でもあります。そして、その突破力を養うためには専門性と集中力が必要になります。結果、人間性が欠落してしまうのだと思われます(肯定しているわけではない)。だから、研究者は変わってる、のです。

ブラック研究室は学生を求めている
 ブラック研究室がなぜ、学生を使うかと言うと、学生は無料だからです。なんのこっちゃ? と思うかもしれませんが、人を雇うと当然、人件費を払わないといけないのです。博士研究員(ポスドク)や技官(テクニシャン)、秘書はフルタイムで雇うと、最低でも年間で400~600万円ぐらいは人件費として払わないといけません。もちろん、大学や研究所が負担してくれるのが大半ですが、何人も雇うことはできません。大学や研究所が出してくれるのは、研究室当たり、1~3人ぐらいです。一方で、学生なら無料です。なぜなら、人件費を払う必要がないからです。むしろ、学生支援のために大学から研究室へ、一人当たりいくらかの費用(運営費など)が支給されたりもします。そして、研究室での学生の指導実績は、教官の教育実績にもなります。だから、人手が欲しいブラック研究室は学生を求めるのです。安価で使い勝手の良い労働者として。

なぜ、ブラック研究室が存続できるのか?
 今回は性的対象としかみていない研究室と奴隷としか見ていない研究室を見てきました。まだまだブラック研究室はあります。最後にとても怖い事を言います。これを言うと、研究室に行くのが嫌になるかもしれません。ブラック研究室の主催者はとても頭が良いです。そして、パワーがあります。だから、ブラック研究室でも存続できているのです。こわっ。

大学生は研究室、ラボ、ゼミ選びを真剣にやるべき
 これだけ書いても、「自分なら大丈夫」と言って、ブラック研究室に行ってしまう人は多いです。詳しくは書きませんが、ブラック研究室で生き残る方法の一つは、ブラック研究室に「加担すること」です。執拗に嫌いな学生をいたぶるのを、代行する。教官が性的に好きな学生とホテルで隣の部屋になるように手を回す。そんなこと、やりたいですか? ブラック研究室は大なり小なり、犯罪を犯している可能性があります。なので、それに加担すると、学生であっても刑事罰に問われる危険性があります。いくら、「教官に言われたから」、と言っても、「学生が勝手にやったから」と言われたら逆にトカゲの尻尾切りをさせられてしまいます。思い出してください。ブラック研究室のボスはとても賢いですし、パワーがあります。なので、ブラック研究室を見極め、それを避けることはとても大事です。

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京都大学 理系博士/基礎ウイルス研究者
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