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真面目な人が病まないための方法

真面目な人は精神を崩しやすい
doctoryoume23

会社や大学、学校で真面目な人が生き残る方法

1. 真面目にやっているのにしんどくなる

真面目に頑張っているのに、どんどん余裕がなくなってくる。ずっと頑張ってきたのに、限界を超えて爆発し、リセットしてしまう。余裕がなくなってきて、時短などを試しても状況は悪化する一方。そんな経験は、誰しもあるのではないでしょうか。

日本人は勤勉で真面目であると言われています。これは国土が狭く、気候条件も厳しく、災害の多い日本で生きるために、「勤勉」や「真面目」が必要不可欠であったことが一つの理由だと思います。

真面目な人物

しかし今は、その真面目さが私たちのメンタルを大きく蝕むことになっています。本来であれば最も素晴らしい美徳であり祝福であるはずの「真面目」が、今や「呪い」のように捉えられてしまっているのです。

私は大学で研究と教育に携わっています。家庭では複数の介護をしながら育児をしています。公私で培った経験をもとに、悩める真面目な人たちの助けになればと思っています。

今回は真面目な人たちが病まない方法を考えていきたいと思います。ポイントは大きく分けて ①諦める ②現状確認 ③自己肯定感 の3つです。

2. 真面目な人はなぜ病むのか?では病まないためには?

真面目な人が病まない方法を考える前に、まず原因を推測してみましょう。

原因の大きな一つは「時間」だと考えられます。どんなことにも時間はかかります。時間を消費しない行動はありません。それは私たちの世界で時間が不可逆的(過去に戻れない)に流れているからです。

そして、真面目な人は物事に真面目に取り組みます。真面目に取り組める姿勢そのものと、真面目に取り組んで成果を出すこと。この2つが評価されて、真面目な人にはさらに多くの仕事が降ってきます。優秀な人を遊ばせておくほど、今の社会には余裕がありません。そうなると真面目な人は多くの仕事を真面目にやることになり、時間がなくなります。

「集中してやればいいのではないか?」と思うかもしれません。しかし、私たちのような普通の人間が1日に集中できる時間は限られています。そうなると時間がなくなり、次に心の余裕がなくなります。心の余裕がなくなってくると、パフォーマンスにも影響が出てきます。効率が低下し、それを自覚してさらに精神的にしんどくなってきます。そして心の余裕がさらになくなります。こうやって人は負のスパイラルに入っていくことになり、ある程度を越えると病んでしまいます。

もうお分かりかと思いますが、このスパイラルにいかに入らないようにするか、このスパイラルからいかに抜け出すかが大事になってきます。

なので、大きく分けると3つの部分が重要になります。

  • スパイラルの序盤である「多くを抱え込むのを諦めるかどうか」
  • スパイラルに入ったときの「現状確認」
  • 負のスパイラルに入っているときの「自己肯定感」

この全てに共通することですが、早めが肝心です。スパイラルの奥に入れば入るほどしんどくなり、帰還は困難になります。

3. ①諦める 〜全てを真面目にやるのは不可能〜

私たちの時間も能力も身体も限られています。なので、無限に真面目にはできません。服装もメイクも、掃除も家事も、ゴミの分別も全てを真面目にはできません。そんなことは分かっていると思いますが、逆に言うと優先順位をつけて、順位の低いことは諦めるのです。

諦めるという言葉の響きが悪いのなら、次のように言い換えることができます。

仕事量が多くて忙しそうな人物
  • 「大事なことを最優先する」
  • 「やるべきことをやる」
  • 「やらないと困ることを先にやる」

「大事なことを邪険に扱う」「無駄に時間を使う」これらのことは良いことなのでしょうか?そうではないはずです。諦められない人は、全てを台無しにしてしまいます。

よく「何かを得たいのなら、同等の対価を」と言いますよね?これは「最優先」のために「優先度の低い」ものを捨てることです。

具体例を挙げてみましょう。喉が渇いて脱水症状になりかけているときに自動販売機で飲料水を買うことです。確かに自動販売機は水道水と比べたら高いですが、脱水症状になりかけていて命を危険に晒すなら、多少のお金は我慢するのです。

これは私の意見ですが、ここまで真面目に文章を読んでくださっているあなたは、とても真面目な方で、苦しんでいる方だと思います。あなたが、あなた自身のために優先順位をつけることは悪いことではありませんし、必要なことです。なぜなら、あなた自身がつけた優先順位を否定することは、あなた自身の生き方、考え、そしてあなた自身を否定しているのと同じだからです。

諦めるということは、あなた自身を大事にすることです。

4. ②現状確認 〜既にギリギリ〜

あなたは今、余裕がありますか?この文章を読んでいる多くの方は既に余裕がないはずです。現代人は既にギリギリな生活を送っています。そして、手法の効率も既に限界に達しています。

通話をしながらの作業、動画でのリモート会議。昔なら数日、数時間、数分かかっていたことが今や数秒でできます。そして、空いた時間にさらに何かを詰め込むのです。あなたは既にギリギリで、余裕がありません。そうでないなら、そもそも悩んでいないはずだからです。なので、時短グッズを買ったり効率向上の本をいくら読んでも、根本的な解決にはなりません。

ちょっと忘れないでほしいのですが、現代人が頭で処理している情報量は莫大な量です。リモート会議をしながら動画編集をして、お昼ご飯を電子レンジで作っているとか、過去の人が聞いたら「???」になると思います。既にみなさんの効率は限界です。

スケジュールがびっしりで忙しそうな人物

ですが、ここで悲報です。周囲の人はそうは思っていない可能性があります。なぜなら、周囲の人にはあなたの心身の状態はほとんど分からないからです。足を骨折したり、黄疸(肝臓の代謝異常)が出ていたら分かります。しかし、メンタル的にしんどかったり、吐き気がある、頭痛があるなどは、パッと見ても分かりません。

そして、真面目な人=優秀な人、もしくは都合の良い人の可能性が高いので、仕事や頼み事がどんどん降ってきます。しかし最も致命的なのは、他の人だけでなく、自分自身もギリギリな状態であることを自覚していないことです。そうなるともはや止められる人はいません。負のスパイラルに陥って、加速度的に悪化します。

私の感覚では、相談に来てくれる人のほとんどは既に負のスパイラルの奥に入ってしまっている方です。

5. ③自己肯定感 〜真面目にやった結果を見る〜

昨日やったことで、あなたが最も素晴らしいと自分自身で思えたことって、パッと言えますか?

私たちは他者からの評価に大きく依存している傾向があります。これがヒトとしての生物学的な傾向なのか、日本社会の教育の賜物なのか呪いなのかは分かりませんが、私たちは自分自身のメンタルを大事にする訓練をほとんど受けていません。確かに勉強は大事ですが、自己肯定感は最も大事なことです。負のスパイラルから抜け出す最も効果的な方法は適切な自己肯定感です。それによってスパイラルから抜け出すことができます。

これは私の感覚ですが、自己肯定感の訓練を受けていない方が多い気がします。自己肯定感は自然にできるものではありません。まして今の現代社会では、自己肯定感を下げることがたくさんあります。ここでは詳しく書きませんが、比較対象として他者を選ぶと地獄になります。大事なのは過去の自分との比較です。

自分のやったこと、できたところまでをきちんと評価して褒めるのです。これによって良い循環が始まるのです。

6. 私の具体例

小さなことと思えるかもしれませんが、私の体験談を書きたいと思います。

私が介護と介護と育児でボロボロになっているときに、何を勘違いしたのか、共同研究者から頼まれた新しい実験を引き受けてしまいました。

これは ②現状確認 ができていなかったからです。ギリギリというより、既にアウトな状態で、さらにやることを抱え込んでしまったのです。ですが引き受けてしまったので、真面目に全力でやろうとします。最低限で良かったのに、何度も実験を繰り返そうとします。これは ①諦める をしなかった結果です。

そして多くのことを真面目にやってヘトヘトになっていて、ミスが出てくることでさらに自分自身を責めてしまいました。これは ③自己肯定感 ができなかったことによるものです。確かにミスもありますが、達成できていることはたくさんあったからです。そこに目を向けないで、ミスにだけ注目して負のスパイラルに入ってしまいました。

抜け出すきっかけになったのは、自分の論文や発表資料を見返したことで ③自己肯定感 がとても高まったからです。それから ②現状確認 が発動しました。それは昔、先輩や指導教官から言われたことを思い出したからです。「抱え込んで突っ走る癖がある」とかです。それで ①諦める が発動して、実験の数を絞ったことで余裕ができました。

7. 病んで全てを放棄しないために

今回書いていることは、どちらかと言うと一時的にブレーキを踏むことです。それは高速でカーブに進入しないためのようなものです。

なぜ真面目に頑張っている人にそのようなことを言って水を差すのか?と思うかもしれません。もちろん余裕を排して一心不乱にギリギリまで頑張るのは大事です。本当にここぞというときは大事です。天王山、正念場では大事です。

しかし普段から余裕がなくなってしまうのはやり過ぎです。真面目な人は我慢強い人が多いですが、どんな人にも限度があります。そして限度を何度も超えてしまうと爆発してしまい、全てに嫌気がさしてしまうのです。

誤解しないでほしいのですが、これは責めているのではありません。お気持ち、とてもよく分かります。とてもつらかったですし、悔しいし、怒りが、憤怒がありますよね。ですがそんな頑張っているあなたが、頑張って作り上げたものをあなたが破壊してしまうのは、あまりにももったいないですし、悲しいです。ほんのきっかけさえ、訓練さえすれば、物事はうまく回るのです。

もちろん、この3つの方法が全てではありません。ですがこの中のどれか1つでも機能すれば、全てを放棄してしまう可能性が低くなると思います。

スケジュールが少なくて嬉しそうな人物

8. まとめ

真面目な人が病まないための方法は、時間の余裕がなくなっていることを自覚し、①諦める ②現状確認 ③自己肯定感 の3点を意識してみることです。

単純と思うかもしれませんが、まずはシンプルな、基礎的なことから考えてみましょう。

次にお勧めの記事として
以下の3記事があります。
そちらもぜひ、読んでみてください(*^o^*)

ABOUT ME
Doctor YouMe
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京都大学 理系博士  某 旧帝国大学 教官
Doctor YouMe。 京都大学 理系博士。  某 旧帝国大学 教官。 ウイルス研究で博士号を京都大学で取得。 現在は日本国内の某 旧帝国大学で教官をしています。 普段は学生の教育と研究室運営、研究を介護、育児、家事の傍ら行なっています。
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