自炊は人生を変える

自炊を侮る現代人
私たちの身体を構成している細胞は、私たちが食べた物からできています。
なぜなら、私たちは植物のように光合成をできないからです。
一方で、ウイルスや寄生虫のように宿主に依存・寄生することもできません。
私たちは、自分の身体が消化吸収できるように、食材を加工する必要があります。
これが「自炊」であり、「料理」「調理」という行為です。
しかし、生きるために必要不可欠な自炊を、ほとんどの人はやりません。
やれないのではありません。
やらないのです。
自炊はめんどくさい
自炊の最大の難点は、時間がかかることです。
自炊のためには
① 食品を買ってくる
② 料理をする
③ 食べる
④ 片付けをする
のざっくり4項目の時間がかかります。
例えば、①で20分、②で40分、③で20分、④で20分だとすると、合計で1時間40分。
一方で外食なら、③の「食べる」だけなので単純計算20分です。
つまり、自炊の方が時間コストは5倍。
しかも、材料を買ってきたり、料理したり、皿を片付けたりするのは、全部めんどくさい。
これが、自炊を困難にさせている最も大きな要因です。
されど自炊は大事
「自炊は大事」と言うと、「じゃあ、美食に走るのか?」と思われるかもしれません。
しかし、そういう意味ではありません。
もちろん、美味しいものを作り、味わうことは喜びの一つです。
ですが、身も蓋もない話をすれば――
日本では人件費が高いため、「人の手が入ったもの」は高くなります。
原材料の野菜は安くても、それを使ったお惣菜は高いですよね?
つまり、その人件費分を自分でやってしまえば、食費は安くなるという理屈です。
そして何より、自炊をすればいろんな料理を食べられるようになります。
お弁当やお惣菜って、基本的にメニューが固定ですからね。
だから、自炊は費用的にも栄養面でも優れています。
ただし、時間と「めんどくささ」は、それをひっくり返すほど強力な敵でもあります。
自炊を毎日やるとしんどい
自炊が続かない理由の一つは、**「毎日やろうとするから」**です。
完璧主義になってしまいますし、作り置きの動画などを見ると「できそう」と思えてしまう。
でも、慣れていないと本当に大変です。
おすすめは、週1〜2回だけ自炊すること。
多くの社会人には、金曜日や土曜日の夜がちょうど良いかもしれません。
大事なのは、
「自炊を習慣化すること」と「得意料理を増やしていくこと」。
それができれば十分です。
自炊をやるなら今世紀が好機!
「どうやって自炊を始めたらいいのか?」
「料理教室に通うべき?」「でも高いのでは?」
そう感じる人も多いと思います。
もちろん、料理教室で体系的に学ぶのも良い方法です。
ですが、今はお金も時間もなくても大丈夫。
なぜなら、YouTubeやネット上に無数のレシピや動画があるからです。
昔のように「少々」「適量」などの曖昧な表現だけではなく、
今は写真・動画付きで具体的に説明されています。
現代はまさに、自炊を始めるには最高の時代です。
自炊は最強の資格であり、スキル
「博士号とか資格より、料理のほうが実生活で役に立つ」と私は思っています。
博士号を使える場面は限られていますが、料理はどこでも使える。
なぜなら、自炊は自分のためのスキルだからです。
料理が上手とは、「独創的で新しいレシピを生み出す人」だけを指すのではありません。
それはプロの料理人の話です。
私がここで言うのは、「生活のための料理」。
冷蔵庫にあるもので、無駄なく、美味しく、短時間で作れる。
それが一番のスキルです。
自炊を楽しむ
家庭料理は、どうしても色合いが茶色っぽくなります。
でも、それでいいんです。
大事なのは「映え」ではなく、「生活のため」。
ただし、実利だけを追い求めると、心が疲れてしまいます。
そんな時は、自分の好きな料理を作ってみましょう。
自分の“得意料理”を極めるのもおすすめです。
たとえば「手巻き寿司を極める」とか。
それだけでホームパーティーや、恋人との特別な日、家族の記念日に使えます。
自炊を楽しむコツ
「楽しめと言われても、どうやって?」
そんな声もよく聞きます。
楽しむためには、目的を加えるのがおすすめです。
明確な目的があると、行動は続きやすくなります。
例えばこんな目的はどうでしょう?
- 長期留学でのホームシック対策
(例:手打ちうどん+自家製つゆ) - 職場での話題作り
(例:「この前料理したら失敗しちゃって〜」) - 就活での特技作り
(例:ゆで卵・半熟卵・温泉卵を完璧に作れる!)
何かを「創る」という行為はとても幅が広く、応用も利きます。
そして、自炊ができるというのは、人間が行う創造の中で最も尊い行為のひとつです。
なぜなら、自炊という行為なしに、人は生きてこれなかったからです。
まとめ
自炊は、栄養面でも金銭面でも外食より優れています。
しかし、絶望的に時間と意欲が必要です。
「毎日やらなければ」という固定観念が、自炊のハードルを上げています。
まずは週1〜2回から始めましょう。
慣れてきたら少しずつ増やせばいい。
そして、自炊を通して“料理の喜び”と“生きる尊さ”を学べれば、
人生はより豊かになります。
それは、金銭的にも、時間的にも、栄養的にも、です。
体験談
自炊をしていると、価値観が変わります。
私にとっての自炊とは、かつて「めんどくさい極み」でした。
暇があれば実験や研究をしたかったのです。
ですが最近、介護で家事をする機会が増えました。
時間に追われ、精神的な余裕もありません。
それでも――
好きな料理を、音楽を聴きながら作っている時はとても気分が良い。
食材を選び、料理をして、食べて、片付ける。
その全てを楽しめるようになると、人生は大きく変わります。
喜びが増え、満足できるのです。
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