博士の介護

自炊は人生を変える

手料理は美味しそうで作るのも楽しいです。
doctoryoume23

 

自炊を侮る現代人
 私たちの身体を構成している細胞は、私たちが食べた物からできています。なぜなら、私たちは植物のように光合成をできないからです。一方、ウイルスや寄生虫のように宿主に依存、寄生することもできません。私たちは身体が消化吸収できるように食材を加工する必要があります。これが自炊であり、料理、調理です。しかし、生きるために必要不可欠な自炊をほとんどの人はやりません。やれないのではありません。
やらないのです。

自炊はめんどくさい
 自炊の最大の難点は時間がかかることです。自炊のためには
① 食品を買ってくる。
② 料理をする
③ 食べる
④ 片付けをする
のざっくり4項目の時間がかかります。例えば、①で20分、②で40分、③で20分、④20分だとすると、1時間40分の時間を使っていることになります。一方で、外食で済ませれば、③だけなので単純計算20分です。なので、自炊の時よりも時間は五分の一になっています。さらに言うと、材料を買ってきたり、料理したり、お皿を片付けたりするのは全てめんどくさいです。これが自炊を困難にさせている最も主要な要因です。

されど自炊は大事
 自炊は大事と言うと、じゃあ、美食に走るのか?! と思われるかもしれませんが、そういう意味ではありません。もちろん、美味しい物を作り、そしてそれを味わうことは喜びの一つです。ですが、身も蓋もない話ですが、日本は人件費が高いのか人の手が入った物は高くなります。原材料の野菜は安くても、それを使ったお惣菜は高いですよね? つまり、その人件費分を自分でやってしまえば、食費は安くなる、という理屈です。そして何よりも、色んな料理を食べることができます。お弁当や、お惣菜って基本的に種類は固定ですからね。なので、自炊は費用的にも、栄養面でも優れています。ただ、時間とめんどくさい作業が多いことはそれをひっくり返すぐらいの力があります。

自炊を毎日やるとしんどい
 自炊が続かない1つの理由は、「毎日やろうとするから」です。完璧主義になってしまいますし、作り置きとか見ると、できそうに思えてきます。が、慣れていないと大変です。1つの提案は自炊を週1か、多くても週2にすることです。多くの社会人の方には金曜日と土曜日とかいかがでしょうか? 大事なことは、自炊することを習慣化することと、作れる得意料理を増やしていくことです。

自炊をやるなら今世紀が好機!
 では、自炊はどうやってやれば良いのか? どうやって練習したら良いのか? 料理教室に通えば良いのか? それだと高額にならないか? と心配されるかと思います。もちろん、料理教室でカリキュラムに沿って学ぶのは効率的な方法の一つだと思います。しかし、お金も時間もないとそれは難しいです。なので、お勧めなのはYouTubeで料理方法を見たりして、学ぶことです。また、レシピってネットに無数にありますよね。ちょっと調べれば、いくらでも情報がありますし、情報の質も高いです。現代は自炊を始めるのに最適な時代です。昔は「少々、適量」などど、初心者泣かせの表現がレシピには多用されていました。しかし、現代は文字だけでなく、写真、動画でも説明があるからです。

自炊は最強の資格であり、スキル
 ここまで書いていて、私のブログをよく読んでおられる人なら、博士号とか他の資格はどうなのか? と思われるかもしれませんが、個人的には料理が上手な方が直接的には生活の役に立つと思います。博士号を使える場面は少ないですし、実生活では直接的には使えません。ですが、自炊はどこでも使えます。なぜなら、自炊は自分のためのスキルだからです。
 さて、料理が上手である、とは「独創的で新しいレシピを考案できる人」や「素晴らしい料理を作れる人」と思うかもしれません。それも間違っていません。ですがそれは、プロの料理人です。私が話をしているのは「生活のための料理」です。生活のための料理はレシピを見て野菜を買うのではありません。冷蔵庫で傷む寸前の野菜や残ったニンジンの半分、つまり、あるものでいかに無駄なく、美味しく、短時間に作ることができるのか? が大事なのです。手の込んだ、豪華な、独創的な、とかではありません。

自炊を楽しむ
 なので、基本的に料理の色合いは茶色系になる傾向があります。しかし、それで良いのです。大事な事は、見てくれでも、インスタ映えでもありません。生活のため、です。ですが、それだけだと料理は長続きしません。実利だけを追い求めていると、心が死んできてしまうのです。なので、そんな時は自分の好きな料理を作るのが良いと思います。自分の得意料理と言っても良いと思います。これは、自分の好みで、自分が作って美味しく食べれる料理です。ある程度、手の込んだ料理でも良いと思います。手巻き寿司をひたすら極めるとか面白くないですか? ホームパーティーとか、恋人との大切な時間、家族との特別な日に使えますよ? 

自炊を楽しむコツ
 「自炊を楽しめ、楽しめ」と言われても、どうやって楽しんだらいいのか? そんな風に聞かれる事は頻繁にあります。例えばですが、楽しむために、以下の目的も加えるのはどうでしょうか? 漠然とした目的よりも、明確な理由付けは効果が高いです。
・長期留学でのホームシック対策
(例、手打ちうどんに自家製のつゆ)

・職場での話題作り
(例、「この前、こんな料理作ったんですよ~。けど、失敗しちゃって見てくださいよ~」)

・就活での特技作り
(例、ゆで卵、半熟卵、温泉卵を完璧に作れる)

 ここで認識してほしいのは、何かを創る、という行為はとても幅が広く、応用が利きます。自炊ができるというのは、人間ができる創造の中で、最も高貴で尊い行為の1つです。なぜなら、自炊、という行為無くして、人は生きることができなかったからです。

まとめ
 自炊は栄養面でも金銭的にも外食やお惣菜とかよりも優れています。しかし、絶望的に時間と意欲が必要になります。そして、自炊は毎日しないといけない、という固定概念は自炊のハードルをますます高くしています。なので、先ず、自炊は週1、2ぐらいで良いのです。慣れてきたら増やしていけば良いのです。そして、自炊によって料理の喜びと尊さを学べれば、人生がより豊かになります。それは、金銭的にも、時間的にも、栄養的にもです。

体験談
自炊をしていると価値観が変わります。私にとっての自炊とは、めんどくさい極みでした。暇があれば実験や研究がしたかったです。ですが最近、介護で家事をする機会が増えました。時間に追われ、精神的な余裕が全くない日々です。しかし、好きな料理を音楽を聴きながら作っている時はとても気分が良いです。食材を選び、料理をして、食べて、片付ける。その全てが楽しめるようになると、人生は大きく変わります。喜びが増えて、満足できるのです。

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Doctor YouMe
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京都大学 理系博士/基礎ウイルス研究者
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