博士の介護

継続の仕方は最難関スキル:継続を始める前に知っておくべきこと

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1. 継続が難しい理由

現代人は非常に忙しいです。学生であれば学業に追われながら、早くして栄達する同級生の動向にそわそわし、一攫千金が目の前の小さなスマホの中に転がっている焦りがあります。社会人であれば、不安定な社会情勢に振り回されながら、終身雇用神話が崩壊した世界で転職の暴風にさらされながら仕事をしています。その中で、結婚や育児、介護のプレッシャーがヒシヒシと背中を打ちます。そんな中、私たちは自分自身のプライベートの時間も何とかしたいと思っています。マルチタスクやバイリンガルにトリリンガル、もはや世界は天才たちによって動かされていると思ってしまいます。

簡単な計算をしてみましょう。睡眠時間を6時間として、学業や仕事で朝の8時~18時までを使っているとすると、約10時間です。そして、朝、昼、夕食の三食の用意、食事、片付けなどを含めて4時間だとすると、既に毎日20時間使っていることになります。残りは4時間です。しかも、その4時間は寝る前だったりします。なので、既にヘトヘトな状態です。こんな状態で継続のための時間と集中力を使うことができるでしょうか?

だから、他の記事で、まずは仕事や育児、介護と両立するためにハードルを下げる必要性を話しました。次に、色々やっていることを止めて、立ち止まってみる必要性を考えました。最後に、改善するための方法を見てきました。これらのステップを通して、ようやく、継続のための準備が整うことになります。もちろん、それらが無くても継続の最初のステップを行うことはできます。ですが、根本的な余裕が無いと、結果的には途中で止まってしまうことになります。

なので、継続とはそもそも非常に難しいことなのです。簡単にできることではありません。

継続は気軽にできないし、するべきでない

そもそも忙しすぎる現代人にそんな余裕はありません。家事、育児、介護、仕事。最もダメなことは間違った方向に継続することです。呪いになるからです。継続をしたいと思うのは、改善のメンタルがあるからです。手遅れだと継続の意向はありません。

2. 間違った継続の危険性

基本的な「継続」とは

継続はとても良いことのように書かれます。しかし、闇雲な継続は、とても危険です。継続とは、未来永劫連続して行われることではなく、目標が達成されたら終了されるべき習慣なのです。なので、ほとんどの継続が失敗に終わるのは良いことなのです。例えば、ただ体重を落としたいだけの場合、ずっとダイエットをしていたら、体重がずっと落ちてしまってとても危険ですよね?

間違った継続を長期間続ける危険性

また、継続が途中で終わるのは、継続そのものが重大な失敗を含んでいた可能性があります。こう書くと大変になりますが、間違った継続ほど危険な習慣はありません。また、真面目で優秀な人ほど、危険な習慣を何年も何十年も続けてしまったりします。なので、間違いでも短くやっている内は致命傷にはなりにくいです。間違いを長期間継続すると致命傷になる可能性は格段に上がります。

失敗する継続は、自信を大きく傷つける

漠然とした継続目標はそもそも達成確率が低い場合がほとんどですし、継続失敗の経験は自信を大きく傷つけます。確かに、失敗は次なる成功の母です。ですが、それは失敗から学ぼうと、継続失敗の結果を確認し、改善しようとした時にもたらされる経験です。そして、失敗の経験の多くは、黒歴史としてすぐに忘れ去られてしまい、改善にはなりません。せっかくの改善の機会が失われてしまうのです。これは、解き直しをしないテストや模擬試験、見返さないノートと同じです。

3. 継続の前に必要なこと

そもそもやれる状態にあるのかを再確認

継続することは、最高難易度です。それを何の準備もなしに挑戦するのは時間と体力だけでなく、メンタルにも大きな傷を残します。なので、自分自身にハードルが高すぎないか、余裕があるか、改善をすることができているかを自問自答してみてください。それぞれに記事がありますので、まだの方はそちらの記事を見て、実践してからの方が良いです。継続とは、新しい事を生活習慣に取り込むことです。なので余裕が無いとできませんし、長続きしません。そもそも、最高難易度なのに、余裕も無いのに継続に挑戦するのは無謀です。

ここで具体的な指標を出したいと思います。

  • 毎日、30~60分の時間があれば、何かの継続を始めることができます。
  • 週に4~6回、60分の時間を作れれば、継続を始めるまであとちょっとです。
  • 週に2~3回、60分の時間があれば、継続を始めるための準備が開始できます。
  • 週に1回、60分の時間を作ることができなければ、そもそも自分自身のハードルが高い状態ですし、余裕がありません。まずは、余裕を作ることから始めましょう。

継続を始める前に、継続の障害を排除する

継続はそれ自体が非常に難易度が高いです。なればこそ、できるだけの準備はするべきです。特に、事前に想定される障害は、あらかじめ排除するのが得策です。例えば、勉強をしたいのに、部屋にマンガなどが散らかっています。集中するために、マンガを片付けるか、しまうかする必要があります。あまりにもSNSが気になってしまうなら、スマホからSNSのアプリを削除するのも有効な手段でしょう。

4. 具体的な余裕の作り方(買い物、食事、思考整理)

食事を簡素にして、朝、昼、夕食後の30分ずつを空き時間とする。質素な食事に身体が慣れて、継続することに抵抗がなくなったら、その時間を使って新しい継続をすることを検討し始める。

毎週末、凝った料理を作ることをしていました。しかし、継続ができるようになるまでの約3ヶ月、それを我慢することにしました。週に1回、3ヶ月、凝った料理に挑戦しないことで生まれた毎週末の2時間の時間を使って、毎週の改善を行うことにしました。

楽器の練習をするために、高架橋の下や、音楽スクールの空き部屋のレンタル、楽器持ち込み可のカラオケを使っていました。しかし、そこまで行くのが心理的に負担でした。よって、音質は悪くなるがサイレント楽器を半年間だけ導入し、家で練習をすることにしました。それによって、生まれた週に1回、1時間を毎週の改善に使うことにしました。

YouTubeもXも息抜きとして使います。パソコン作業をした後、15分ごとに息抜きとして使います。禁止をするよりも、肯定的に使った方が良いです。それによって、夜、寝る前にダラダラと息抜きしていたのを、目的意識を持って息抜きをすることができます。

仕事の同僚や友達、取引先との会話は長くても3~5分にします。長すぎる話はお互いにとって良くありません。また、友達とダラダラ電話しながらやっていた作業を、ちゃんと集中してやります。それによって、一日、15分の時間を捻出します。

5. 継続のための継続

継続とは時間と集中力、余裕を奪う行為

継続をすると、余裕が無くなります。筋トレにしても勉強にしても、ダイエットにしても身体や頭脳、メンタルに大きな負荷をかけています。だから、先ほども挙げたように、余裕が無い時は継続をするべきではないのです。例えば、初めての子供が生まれたばかりで、ワンオペ育児が頻繁にある状態でダイエットをすると、とてもしんどくなります。夜泣きによって睡眠時間が削られている状態で、食事制限や運動をするのです。身体だけでなく、メンタルにも大きな負担になります。

時間と余裕を生み出す継続、だけは継続するべき

継続は基本的に負担が大きく、軽はずみにするべきではありません。ですが、唯一の例外があります。それは、日々の余裕を生むための改善を継続することです。かなり抽象的ですが、これを意識するとしないとでは、大きな差が出ます。例えば、日々の時間の使い方、負担になった行動、睡眠の質、などです。日々、これらを観察、確認をして、問題があれば、改善をして、効率を上げたり、時間を産むようにするのです。

例えば、夏の暑い期間や冬の寒い期間の通学は自転車ではなく、バスを使うのです。往復500円、月に1万円ほどの出費になる可能性がありますが、それによって、学校や大学に到着したときに、体力の消耗が少なくなります。時間も体力もメンタルも集中力も有限であり、何もしなくても消耗されてしまいます。お金と同じく、常に収支に注意を払う必要があります。忘れないでほしいのは、外から来る責任と貴方自身の興味本位によって時間と体力、メンタルと集中力の収支は簡単にマイナスになります。そして、真面目で優秀な人ほど、そのマイナスの収支の合理的な説明を編み出してしまうのです。

継続の状況を、継続して確認する

最も怖いのは継続が止まることではありません。悪い方向を継続してしまうことです。なので、継続そのものだけでなく、継続の効果を確認するべきです。

6. 継続を続けるための余裕の調整方法

最も良いのは、信頼できる誰かに常に確認してもらうこと

学生の頃は担任の先生や部活の顧問の先生、先輩、友人などが行動や習慣を気にかけ、助言をしてくれたかもしれません。しかし、大人になって社会人になると、その機会は激減します。なので、現実的に言って、他人に確認してもらうことは難しいと思います。

そこで、その場合は、過去の自分と対話することが良いと思います。そのために重要なのは、今の確認や改善などをひたすら情報として残すことです。

例えば、私は記憶力がそれほど良くないので、数日経つとかなりのことを忘れてしまいます。なので、極力、考え事は紙に書くようにしています。頭の中だけで、長い思考を維持するのが苦手だからです。また、紙面上に活字にすることによって、過去の自分自身との対話ができます。

セルフトレーナーによって、常に自分自身を確認する

たとえ、他の人に見てもらっていても、自分自身で自分を確認し、点検する習慣は身につけた方が良いと思います。いつ、その他人がいなくなるか分からないからです。親戚や親にしてもいつかはいなくなってしまいます。また、海外赴任などによっても会う頻度が減ると点検の頻度が減ることになるからです。

例えば、スポーツや楽器で自分自身の身体のフォームを常に意識するように、自己点検を意識するのです。この場合の自己点検とは、先ほど挙げた、継続のための継続。自分自身の生活習慣を確認、点検することです。それでも他の人に見てもらえる機会があれば、二重三重で生活習慣を点検してもらえます。

忘れないでください。継続とは、かなりパワーを使う作業ですし、行動だからです。

余裕が無くなった時のための継続方法

どんなに工夫しても、どんなにやる気があっても、どんなにやる理由があっても、継続のための余裕が無くなってしまう時は必ず訪れます。重要なのは、余裕が無くなる事態を想定して、事前に対抗策を考えておくかどうかです。

お勧めなのは、継続している事の時間を最小限にして、残りの時間を継続のための余裕を作る時間に回す、という対抗策です。

例えば、毎日15分間の筋トレをしていたとします。余裕が無い時のための対抗策として、スクワット3回をしたら、その日の筋トレは終了したと考えるのです。

そして、15分やらなきゃ、という焦りから自分自身を開放して、余った時間と気持ちで自販機で珈琲を買って、外を見ながらぼんやりするのです。

育児や介護、仕事の締切り前や試験前は「やるべき事」や「しんどさ」で「継続のための余裕」が押し潰されてしまっています。なので、仕切り直すためにも「継続」を最低限にして、ちょっとでも余裕を作るのです。

大事なのは余裕が無くなる前に、です。

なぜなら、余裕が無くなっているときは、既に正常な判断をするだけの余裕も気力も集中力も無いからです。

しかし、そうはいっても、何となく漠然としていて、フワッとしていると感じるかもしれません。もっと具体的には?と思うかもしれません。

そんなあなたにおすすめの方法が紙に書いて考える、ということです。これは次の記事で書きたいと思います。

ABOUT ME
Doctor YouMe
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京都大学 理系博士  某 旧帝国大学 教官
Doctor YouMe。 京都大学 理系博士。  某 旧帝国大学 教官。 ウイルス研究で博士号を京都大学で取得。 現在は日本国内の某 旧帝国大学で教官をしています。 普段は学生の教育と研究室運営、研究を介護、育児、家事の傍ら行なっています。
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