理系博士号

ホワイト研究室は最高の学び場

二人はやる気に満ちあふれている
doctoryoume23

ブラック研究室だけではない
 先日、ブラック研究室について二つの事例を挙げて簡単な解説を行なってみました。思ったよりも沢山の方に記事を読んでいただき反響をいただきました。ありがとうございます。ですが、このままだと、研究室に対して大きな誤解を生んでしまいます。今回はホワイト研究室について解説していきたいと思います。

ホワイト研究室の壮絶なアドバンテージ
 簡単に言うと、ホワイト研究室に行くと人生が大きく変わります。人によって、自分自身でも想像できないほど、びっくりするぐらい成長することができます。それは、タダ単に、成績が上がったり、資格を取れたり、良い就職先に行けたとかのレベルの話ではありません。考え方や生き方にとても大きな影響を与えてくれるのです。そして、親友と呼べるような友人や深い人間関係を作れ、自信や、多彩な経験を得ることによって人生が大きく変わることになります。盛りすぎかって? そんなことありません。本当にあるんです。

ホワイト研究室は人的パワーが豊富
 ホワイト研究室の大きな特徴として、人的パワーがあることです。これは、ラボの人が多い、というわけではありません。研究室の運営には多くの労力が必要になります。なので、通常は教官、秘書、技官、研究員など多くの人手が必要になります。ですが、びっくりするぐらいに優秀な人だと、全てを一人でやってしまったりします。つまり、学生が十分な教育を受ける機会を提供できる研究室です。研究室運営のための雑務を押しつけられたり、教官が学生と話す機会が忙しすぎてほとんど無いのは十分に教育が提供できていません。

多様な学びの機会
 次に、多様な学びの機会を与えてもらえることです。私が所属している基礎ウイルス学の分野では、タンパク質解析、核酸解析、遺伝子変異解析など多様な解析方法があります。それらを網羅的、系統だって学ぶのです。それによって自分自身で実験を組み立て、解析したい方法を駆使して多様なデータ取得が可能になります。多様な解析方法を学ぶことは、技術のコツを学ぶことができます。料理で例えるなら、材料の切り方、食品の保存の仕方などです。なので、多様な解析方法で培った経験は他の事にも応用が可能です。

国内外の科学学会に参加
 国内外の学会や調査活動に参加させてもらえる。これは、大きな経験になります。確かに予算が必要になりますが、今では学会や大学、企業、財団などから多数の援助があります。なので、それらを駆使して学生に学会活動に参加させてあげる教官も沢山います。それらによって、新幹線や飛行機の乗り方だけでなく、異国の文化、異国の研究者との議論など、友達作りなど沢山の機会があります。そして、自分自身の研究内容を他の人に伝えることは、客観的に自分を見つめることにもなり、大きな自己成長の機会にもなります。

人としての成長
 最後は、人として成長させてもらえる研究室です。研究室に子供はいません。年齢的な話ではありません。研究室は実験、研究をする場所です。なぜ、実験、研究をするのかと言うと、その先に何があるのか分からないからです。なので、実験や研究には危険が伴います。よって、実験室には特別な機器や安全装置、訓練が必要になり、部外者が立ち入り禁止になっているのです。また、大人同士の関係性を作ることになります。礼儀作法も重要になってきます。そして、自己の感情の制御方法や、伝え方、教え方などを学びます。

人間関係がしっかりしている研究室
 ここまで読んでもらってお気付きかと思いますが、ホワイト研究室とはつまり、「人」です。何度も書きますが、研究費の有無、スタッフの多さではありません。スタッフが多い研究室はビックラボと言われ、とんでもない額の研究費があり、企業や海外から沢山の人が来ています。ですが、綺麗に見えるビックラボでも中の人間関係はグチャグチャで、研究チーム毎に教員やスタッフだけでなく、学生同士もいがみ合ってしまったりしていることはよくあることです。しっかりとした人間関係がある。しっかりした人間関係を構築できることはホワイト研究室の最大で共通する特徴です。

まとめ
 いかがでしたでしょうか?かなり漠然とした話でしたが、研究室を得て大きく成長した学生はその後、アカデミックや企業で大きく活躍することになります。ここで注意してもらいたいのは世の中にはホワイト研究室、研究室、ブラック研究室の三つが大きく存在していると私は思っています。そして、その三つの見た目の違いは実はほとんどありません。その理由はまた違う機会にお話しできたらと思います。

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Doctor YouMe
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京都大学 理系博士/基礎ウイルス研究者
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